[日本語クラス]

午後からの授業に行くとき、「今日は曇りかぁ」なんて思いながら教室へ。それから授業を始めて30分も経たないうちに、空はみるみる暗くなって、学生も私も超憂鬱。「授業が終わったらすぐに帰りましょう!」なんて学生には言われたけど、私は今日は午後は1日中授業なため、1クラス目が終わっても帰るわけにはいかない。

2クラス目の授業が始まったときも、まだ降ってはいなかった。でも、前半50分の授業が終わる頃には、もう小雨が降り始めていて・・・。あーあ。傘なんて持ってないのに。せっかく今朝天気予報を見たのに、予想気温に気をとられて、天気自体に関しては見るのをすっかり忘れていた私。なんか、もうなんなんだ、自分。ちょっと自己嫌悪。

休み時間に、ある学生が「雨が降り出したので帰ってもいいですか」と聞いてきた。正直「はぁ?」だ。聞くとその子も傘を持っていない。ていうか、誰一人傘なんて持ってないんだから、みんな状況は同じだ。でも、その子いわく、今日履いているピンクの靴は買ったばかりだし、濡れたら困るのだとか。そんなの、私だってヒールの靴じゃないんだから、帰り道、雨でずぶ濡れだよ!でも、彼女も引き下がらない。雨に濡れたら、その靴は「壊れてしまうから、捨てるしかない」んだって。どんな特別な靴なんだ、それは。紙じゃあるまいし、革でもない。

結局授業なんか、私がどうこう言っても仕方ないし、早退するなら遅刻と同じように減点することを告げて、あとの判断はその子の自主性に任せた。私が残れって言ったところで、心ここにあらずで教室にいられても、頭には全然入らないだろうし、私のせいで靴がダメになったとか言われたくもないし。結局その子は「じゃ、減点してください」と言って、早退していった。
授業終了後、「傘ないしイヤだなぁ」と思いながら帰る準備をしていると、今日私の授業がないはずの1年生の女の子が走って授業に入ってきた。それから、ハイ、と私に折り畳み傘を手渡すと、また走り去っていった。一瞬過ぎてなにがなんだかわからずに、教室を出ようとしていた3年生の学生にちょっと声をかけると、その子はわざわざ私のために傘を持ってきてくれたっぽいということがわかった。うれしいけど、正直どうしよう、って気持ちも半分。その子が自分用に持ってきていた傘を私に渡したのだったら、その子が濡れてしまうから。

その後、他の教室にその子がいないかを探して、彼女を見つけた私は、一緒に帰ることにした。雨が降り始めたため、教室で勉強していたほかの学生たちに、寮から傘を届けに教室に来たのだそうだ。やさしいなぁ。
でも、彼女の自習教室と私が授業していた教室はフロアすら違うのに、どうして私がその時間に教室にいることを知っていたんだろう・・・。ちょっと私のことを思い出して、「もしかして」に賭けて来てくれたのかな。その「もしかして」の彼女の勘は当たっていたし、今日はすごく助かったのだけど、授業以外でもこんなふうに思い出してもらえるのって幸せなことだなぁ。