先週、1年生のクラスで

  • 〈場所・位置〉に (もの〉が あります/〈場所・位置〉に (人・動物〉が います
  • (もの)は 〈場所・位置)に あります/〈人・動物)は 〈場所・位置)に います

という文型を復習した後、その文型に関する宿題を出した。今日、その宿題をチェックしていたところ、ある学生の答案に、ちょっと手が止まった。

李(学生):あのう、すみませんが、校長先生は どこに いらっしゃいますか。
田中先生 :ほら、あの バカの 向こうですよ。
李(学生):あ、いらっしゃいました。どうもありがとうございました。
田中先生:いいえ、どういたしまして。

私が目を疑った部分は、言うまでもなく「あのバカの向こうですよ」という部分。バカ・・・バカ? バカ!
おいおいおい・・・。私はそんな言葉は教えていないぞ。
その答えに1悩むこと15秒くらい。ほかの学生の答案と比べてやっと、その学生の意図する「バカ」が何だったのかが判明した。


ドア・・・
その学生の書いた「ド」は縦線とそれにくっつくはずの2画目の線に空白があって、しかも縦線よりも短いはずの2画目が、縦線と同じくらいの長さ。「ア」に関してもなんか形が崩れていて、どう見ても「カ」にしか見えないような形。この2つの偶然が「ドア」を「バカ」としか読ませないミラクルを起こしていたらしい。

冷静に考えると、学生と教師の会話の中で、教師が学生に向かって「ほら、あのバカの向こうだよ」なんて言うはずないし、ありえない。でも、日本人として(?)話者同士の関係と状況次第では、こういった発言が成り立ちうるということが無意識にわかっているから、この答えを見て「これはマズイだろ!」と一瞬慌ててしまったんだと思う。

いやぁ、「ドア」と「バカ」。全然違うものだと思っていたけど、なんか2つをじーっと見比べていると、わからなくもない。てことは、これって、本来の文字を同じような形のほかの文字で代用するギャル文字にも通じるところがあるってことかな。おもしろい。
ま、でも、この学生の書く「ド」と「ア」は、ちょっと癖がありすぎるので、ちゃんと書けるよう訂正と指導が必要だな。