不満(2)

グループ作りの難航。「男女混合グループを作るように」という説得だけでは、埒が明きそうにない。いつまでもグループ作りだけに時間を割いているわけにも行かないし、最後はじゃんけんで決めることにした。そのほうがどのグループにとっても公平だからだ。そして、じゃんけんの結果、男の子との混合グループ3つが決定。
グループ作りが済んだところで、メンバー同士で一緒に座って、作業を開始するように指示。どこも話し合いは順調そうだった・・・1つのグループを除いては。
巡回している間、そのグループのところで進み具合を聞いても、男の子も女の子もちょっとぎこちない感じで、うまく話し合えていない感じが少しした。そうこうしているうちに授業が終わり、学生たちが帰っていった中、1人だけ帰らない子がいた。問題のグループの女の子だ。
「帰らない?」と片づけと次の授業の準備をしながら話していると、「先生、私たちは女の子だけでもいいですか。私たちは話し合いをしました。女の子は女の子一緒に、男の子は男の子一緒に」と、その子はさっき作ったグループについての話を始めた。こっちが「どうして?」と尋ねても、「一緒に出来ません」とか「私たちは話をしました。ですから、女の子だけ、いいですか」とか、具体的な理由も言わないし、向こうも譲らない。
でも、特に大した理由もなく、しかも、メンバー同士でろくに課題についての作業もせず、ただメンバー交換の話しかしていない子達の要求を呑むわけには行かない。何かメンバー同士の確執があるとか、グループで課題というゴールに向かって前向きに作業してみたものの、その中で和解できないほどのケンカがあったとか、そういう特別な事情があるなら、私もグループの再編成について考える。だけど、この子達の言い分には、納得できる部分がない。このグループの男の子たちの反応は聞いていないから、よくわからないけど、もし男の子もも女の子も、「元のグループがいい」と言っていたとしても、彼らの元のメンバーの子達は、もう新しいメンバーと一緒に前を向いて作業を始めているのだ、何の問題もなく。それに、この子達の不満をそのまま呑んでしまうと、ほかのグループの子達にフェアじゃない。
だから、こっちもとりあえずは、「お互いの仲が悪いわけじゃないんだから、ちゃんと課題についてグループで話しあうように」ということしか言えない。もともとメンバー同士が険悪な感じだというわけではないし、みんなが1つのゴールを見さえすれば、うまくいく。ただ、今はみんながまだゴールを見ていないだけ。彼女はもちろん「でも・・・」と私の話をおとなしく聞く感じではなかったけど。
そして、次の授業の学生たちが教室に入ってきたため、「大丈夫、大丈夫」と励まし、彼女も教室を去っていった。

<続く>