スポーツマンシップ

FIFA W杯 ’06 スローガン

結局W杯はイタリアの優勝で幕を閉じた。予想しなかった結果・・・というか、したくなかったというか・・・。試合は前半フランス有利で進んでいたのが、後半ジダンの退場によって、その流れが変わったとかないとか言われている。


その退場についても、イタリア選手がアルジェリア移民2世のジダンを一瞬にして激怒させるような暴言を吐いたからだとかどうとかいう憶測が飛び交っている。確かに、ジダンはレッドカードの原因となった頭突きを相手に見舞う直前、ファールはあったものの、一旦は普通に微笑んでその場を過ぎようとしていた・・・。それが一変、振り返って頭突き。憶測が正しければ、相当ひどい何かを言われたことも考えられる。まさか、最後の引退試合、しかも優勝を争う決勝戦で、シャツの引っ張り合いに端を発したファールの報復のためだけに、一旦相手に微笑んで油断をさせておき、頭突きをかます、といったことはしないだろう・・・普通。だから、私も前者の可能性が高いと思うのだが、マテラッツィ(イタリア人選手)は世間の推測を真っ向から否定しているし、ジダンも今のところ沈黙を守っているため、真相はわからない。

FIFAの今大会のスローガンは”Say no to racism”。各試合開始前にも、試合対戦国それぞれのチームの選手が一緒にこのスローガンを掲げてピッチを歩く姿が映される。もし、マテラッツィの暴言が事実で、それが人種差別的発言ならこれは問題になるだろう。いや、今大会のスローガンがレイシズムに関するものでなくとも、そういう発言は問題とされるべきではある。
でも、結果から言えば暴力は暴力。ジダンのとった行為はレッドカードに値するものだから、退場も仕方ない。そんなこと出来るのかどうかはわからないけど、できるなら暴力に訴えるのではなく、そこで審判を呼んで試合を中止するなり、その場は我慢するなり、してほしかった・・・。


準々決勝ポルトガル‐イタリア戦ではルーニーが退場。これについては、クリスティアーノ・ロナウドポルトガル選手に暴力行為をしたルーニーに抗議し、その後、ルーニー退場直後にはウィンクした姿が放送されたこともあって、「クリスティアーノ・ロナウドルーニー退場の”アシスト”をした」という批判が出たらしい。私個人としては、ポルトガルの試合の中で何度もクリスティアーノ・ロナウドがウィンクする姿を目にしたため、必ずしも彼がルーニー退場に関してウィンクしたとは思えない。問題のシーンだけ取り出すと、そう思ってしまう気持ちもわからなくはないが、私はすでに数回見ているため、むしろ、彼のウィンクする姿を見るたびに「この人は観客にウィンクしているのか、家族にしているのか、はたまた試合を見に来ている彼女にでもサインを送っているのだろうか」と思っていたほど。これも結局、真相はわからないけど、結局は怒りにまかせて暴力行為をしてしまったルーニーが悪いと私は思っている。


スポーツマンシップ。スポーツをする人ならこの精神を持っていてほしい。相手の怒りを誘発させるような暴言や、相手を負傷させるような暴行。これってスポーツマンシップとは言えないんじゃない?前者は、相手のリズムを狂わせるとかいろんな狙いのある戦略の1つなのかもしれない。でも、それって「正々堂々と戦っている」って言えるんだろうか?

スポーツに詳しくない素人の意見はプロから見ると「甘い」と聞こえるかもしれない。でも、この2人の退場騒動からは「スポーツマンシップって何?」って考えずにはいられなかった。